緑の掃き溜め置き場

東京の大学院で心理学やってます

最高の環境を捨てて別の最高の環境に入った話 〜東北大トップレベルの環境から東大教育心理に行った話〜


 こんにちは、モクローです。

 後輩と同期が院試についてのブログを書いたおかげで、最近自分の大学院のコースへの進学志望の方からTwitterでフォローいただくことが増えました。さらには後輩の元にはファンレターも届いたらしく、院試の情報の需要の高さを感じております。羨ましい。

 

 ということで自分も何か貢献できないかと思い、大学院進学後の環境について語ろうかなと思いつきました。

 自分が学部時代にいた環境と比較して今の環境はどういった感じなのか、なぜ今の大学院に進学したのかを、進学希望の方に向けて伝えられればなと思います。

 

 

学部時代の環境 

 学部時代、私は東北大学教育学部に所属していました。そして、研究室には3年生の前期終わりに配属されます。私は教育測定学の先生の研究室に所属することになります。ここでの環境は最高でした。

  • 院生室の机は余り放題で学部生でも自由に使ってよかった
  • 院生の先輩にいつも面倒を見てもらった
  • そもそもコースに配属されている学生が非常に少なかったので、自分の指導教員以外の先生にも面倒を見てもらった
  • 院生室は24時間365日使い放題
  • 教材とかも研究費で買ってもらえた

 これだけでも最高でした。3年生からのびのび過ごせました。

 そして、4年生になる直前にいろいろあって(ネガティブな理由ではなく)指導教員が変更となり、環境が急激に変わります。

 

指導面での環境

 指導教員が東北大工学部の自然言語処理の研究室(https://www.nlp.ecei.tohoku.ac.jp/)から新しく赴任された先生になりました。その関係で工学部の研究室には連携研究という形で通いつめることになりました。まず、この工学部の自然言語処理の研究室というのが

  • 東北大の工学部の中でもトップレベルで人がいる研究室
  • 東北大の工学部の中でもトップレベルで研究業績を積み上げている研究室
  • 東北大の工学部の情報系学科の中でもトップレベルの成績を取らないと入れない研究室
  • 自然言語処理の研究室としても、国内トップレベルの研究室
  • 以上の理由で学内外でも有名(インターン先でも学会でも有名でした)

 という恐ろしい環境でした。そこに文系学部で3年間ぬくぬく過ごしていた自分が準備もなしに工学部の研究室の同期といきなり合流して、日々の勉強会や研究活動をすることになりました。今考えるとだいぶ無茶な話です。

 また、新しい先生も非常に教育熱心な方でした。赴任当時の研究室のメンバーは先生と自分1人だけでした。それもあって、週1でマンツーマンでミーティングを行い、研究のいろはを1から徹底的に叩き込まれました。サポートも徹底していて、困ったことがあれば親身に付き添ってくださり、研究資料の添削もきめ細やかでした。

 さらに、3年生の時の指導教員に誘われて大学院講義(ゼミ)に3年生の後期から出席していたのも継続していました。ということで4年生の頃にやってたことをまとめると、

 工学部の研究室での研究活動+当時の指導教員からの研究指導+前の指導教員の大学院講義(ゼミ)

 まるで研究室が3つ重なってるようで非常にしんどかったですが、成長環境としては最強の布陣でした。非常に恵まれてたと思います。

 学部時代はこんな感じで指導されていました。今考えれば手厚すぎてもったいないレベルです。

 

物理面での環境

 工学部の研究室に通い詰めるようになってから、物理的な面でも大きく環境が変化しました。

 まずは人間関係の変化です。それまで自分にとっての研究関係の人というと、教育学部のごく少数の人を指していました。しかし、4年生になってからは多くの情報工学関係の人と日常的に接するようになりました。自分とは背景の違う人々との交流は非常に新鮮で、日々学ぶことばかりでした。自分より遥かに優秀な方が勢揃いだったので多くの刺激を受けました。その上、本当に親切な方ばかりでいつもお世話になっておりました。

 さらに、設備面でも大きく変化しました。ありがたいことに工学部の研究室の方にはメンバーとして受け入れてくださり、研究室の設備も自由に使えるようになりました。

研究面でいうと

  • 電子書籍を含めた数えきれない蔵書
  • 発達したコミュニケーションツールの活用、及び研究室運営体制
  • 豊富な研究資源
  • 居心地のとてもいい居室(とこたつと椅子と机)

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    研究室内に売店もありました

 教育学部にいたらありえないような充実した設備を自由に使わせて頂くことになりました。物理的な居心地もいいし、研究体制は整いすぎてるし、そこにいる人たちも最高という非の打ちどころのない環境でした。

 

大学院での環境

 ここからは今の環境について話していこうと思います。

私は現在東京大学大学院教育学研究科教育心理学コースというところに所属しています。そこでの環境(コースと研究室両方)について書いていきます。

指導面での環境

 コース全体としての指導面での環境は一言で表すと、「放置と自主自律」です。本当に先生からの介入というのは皆無に等しく、学生同士で研究を進めて行く感じです。元々目的意識が強くあって、自主的に物事を進められる人じゃないと厳しい環境だとは思います。ただ、親切かつ実力のある人達ばかりなので、コースの同級生とかにさりげなく相談をするといいヒントをもらえたりすることがあります。

 研究室としての指導面での環境は基本的に「自主自律」ですが、こちらから行動すればすぐに個人面談を設けてくれたり、添削をしてくれたりとフィードバックは手厚いです。ゼミも週一回開催されますが、大体1,2ヶ月に1回発表担当が回ってきます。毎回先生含め、研究室のメンバーから大量のフィードバックをもらえます。日々自立してきちんと研究していれば基本的に問題はありません。(但し自分の場合はいろいろ困ったことになった、前回の記事参照)

 

tawa-wata.hatenablog.com

 

 

 

物理面での環境

 物理面での環境という意味でも大学院に入ってから大きく変化しました。まず、ここでも人間関係の変化が大きかったです。まず、コースの人達の特徴として

  • 男性より女性が多い
  • 教育心理というコースの特徴柄か、親切かつ人の気持ちを推し量れる人ばかり
  • 基本的にみんな明るい
  • 尖っている人は基本いない

 といった感じでしょうか。実は自分の研究室だけを挙げると、コースの中では異例で男性率が異様に高いです。人間関係的な面で言うと、居心地のいい環境であることはほぼ間違いないです。あと、東大だけあって実力と目的意識が高く、中には次元が違うな…と感じる人もいます。東北大時代も基本的に実力が高い人ばかりでしたが、次元が違うとまで感じる人は、先生以外ほぼいませんでした。

 自分の研究室に限って言うと、自分より遥かに優秀な方が勢揃いです。まさに桁違いの方々です。学部生の人達も含めて、本当にできる人しかおらず、自分はまだまだなんだなと日々思い知らされます。しかし、その分多くの刺激を頂いています。

 設備面でいうと、学部時代にいた研究室が異常によかったので居室環境・運営環境は自分の中ではグレードダウンしました。ただ、研究生活を送る分には不満はありません。

 一方で、日本の中でダントツ総資産が多い大学というだけあって、図書館や電子書籍、諸々の大学全体のサービスが東北大より遥かに充実しています。学術を極めるなら、やはり東北大よりいい環境なのは間違いないです。

 学外の環境もかなり変わりました。東京の都心にあるというのはかなり大きなメリットだと感じています。というのも学外からの情報がすぐに入ってくる上、すぐに物理的にいろんな箇所にアクセスできるため、共同研究・就活・進学などで非常に優位になります。もちろん東大というネームバリューも手伝ってのことだと思うのですが、今のアルバイト先や就活もコロナ渦でも特に苦労することなく、いい条件で決まりました。

 

なぜ私が東大に!?

某四○学院風

 端的に言うと、自分のやりたい分野をするなら東大の方がいいと判断したからです。

 実は院試に合格してから、東大を蹴って東北大を後期で受けようかなと迷っていました。というのも当時(今も)の自分の関心が「自然言語処理を心理分野に応用すること」と「(心理|教育)測定」だったのですが、軸を自然言語処理にするなら間違いなく東北大の方がいいからです。そこで考えたのが

  • 進学・修了する時のタイミングはいつか(when)
  • どんな人がいる環境でやるのが一番研究しやすいか(who)
  • どこで研究生活を送るのが一番いいか(where)
  • 自分の強み、及びやりたいことは何か(what)
  • なぜその強み、やりたいことなのか(why)
  • 強みをどう伸ばすか (how)

 これを踏まえて進路を考えました。

 特にこの中で決定打だったのは「自分の強み、及びやりたいことは何か」でした。もし、自然言語処理を軸としていくのであれば、元から情報系にいる人たちの下位互換になりかねないのではないかと考えました。それならば、自分は(教育|心理測定)を軸にして自然言語処理を手法とした方が、戦略的にも優位になるだろうし、目的意識も高く保てると結論づけました。そして、それを研究分野として伸ばしていくならどんな人達が多くいる環境がいいだろうかと考えると進路は自ずと決まっていきました。

 他にも「進学・修了する時のタイミングはいつか」を考えると、もし博士に進学するなら学部3年生の時の指導教員が途中で退官してしまうことが明らかだったことも東大への進学の決め手の一つになりました。(あと実家の事情も密かに関係している)

 また、上記に書いてあることとは関係がなく個人的なことで恥ずかしいのですが、学部時代の指導教員の先生2人が、共に修士から東大の大学院に入って博士を取っていることも決め手の1つでした。お二方とも自分には到底追いつけないほどの人間性、知識、思考力、研究への熱意をお持ちの方でした。どうしたらああなれるのだろうかと日頃から疑問に思っていました。先生の元で学ぶことが先生方の次元に近づく方法だと思う一方で、先生方が学んできた道を辿るのが一番ではないかと考えました。

 僕自身は修士で出てしまう予定ですが、少しでも先生方に通ずる何かを掴み取りたいという気持ちで日々過ごしています。

 

終わりに

 長々と書いてきましたが、結論から言うとどっちの環境も最高です!

 うちのコースに進学希望をされている方に向けても、自信を持ってオススメできる環境だと言えます。院試勉強のモチベーション上げになるかはわかりませんが、参考にしていただければ幸いです。